箪笥の松本は、創業時より、桐たんすの他に江戸指物の職人を自社で抱えておりお客様のいかなる和室に於けるニーズにも対応して参りました。今、ここに新たに和家具の製作と修理部門を設けるに至りまして、その概略を皆様にお知らせいたします。
指物とそはそもそも武将の具足の胴にある指筒にさしこむ標識のことでそれが変じて、 板材に差しあわせて組み立てる木製器具になりました。これをつくる専門の職人を「指物師」 と呼び始めました。 江戸指物の歴史は江戸の元禄時代からで、京指物が朝廷やお公家さん、茶道用に作られたのに 対して江戸指物は武家や商人、歌舞伎役者用に作られてきました。 江戸指物で用いる材料としては、桐・桑・﨔・杉・檜・献保梨・タモ・塩地・栃などが揚げられます。
和室で使う家具の総称で具体的には飾棚・火鉢・鏡台・茶たんす・羊元たんす・三味線箱・座卓 ちゃぶ台・衣裳盆・踏台・合曵・等々がその対象となります。 次に弊社に於ける和家具の製作及び修理に携わる職人を紹介します。
昭和13年浅草で独立され昭和28年に現在の東日暮里に移られて創業77年になる江戸指物の工房です。受注生産という形は変らないが求められる品物はずいぶん変わったそうで、一緒にされている息子(健司)さんもこの道20年になる方ですが、喜夫さんが火鉢を作るところを3度しか見たことがないとおっしゃっていました。仕事は見て覚えるのではなく教わっていても師匠から「きもち削ってみな」「ひと鉋先の方を削ってみな」と言われるこの表現できない「ひと鉋」という単位が職人は仕事を教えないと誤解されている要素のように思いました。お話を伺っていて 以前、恩師に<守・破・離>「守」:師の教えを忠実に守りそれからはずれる事のないよう一心不乱に精進することをいい「破」:教えられたことを身につけたとき師の教えを壊して自分のやりたいことを模索する「離」:模索し自分のやりたいことが確立した時、初めて師の教えから離れ自分の道に進むという話を聞いたのを思い出しました。
労働大臣認定の漆塗一級技能士の金惣一さんは昭和13年生まれのおんとし77歳で昭和29年4月からこの仕事に始めて今年で61年目を迎える東京には数少なくなった伝統工芸に携わる職人のお一人です。
日頃からお客様に喜んで頂ける商品づくりをモットーにしている金氏ですが、昔と今とでは依頼内容に変化があるそうで昔は数物(茶たんす、丸卓などの江戸指物)を新しく製作することが、主な仕事だったが最近は直しの仕事が主流になったそうです。
金釘は一切使わないで「ほぞ」と呼ばれる凹凸を罫引き(けひき)や鑿(のみ) で彫り込み、通常は組み合わせた接ぎ手部分は外からは見えないものです。 また、仕上げにおいても、雅の京指物と異なり渋好みの江戸武士の思想を反映してその殆どが茶色一色の 試漆しの仕上となっております。
加茂の組合員のシールが
品質の証しとして貼られます。