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桐たんすの型の違い

桐たんすの種類・用語を知れば、選び方もわかる!

桐たんすには多様な「型」があり、それぞれに名称(専門用語)が付いています。
ここでは、桐たんすを初めて購入する方でも選ぶポイントがわかる、さまざまな型の違いについて分かりやすい言葉で紹介します。

基本的な桐たんすの形と種類

桐たんすは、「衣裳たんす」、「整理たんす」、「洋服たんす」の大きく3種類に分けられます。このほか、最近の洋風化したライススタイルにあう「小袖たんす」の人気が出ています。(松本義明)

和たんす(衣裳たんす)

和たんす(衣裳たんす)

着物や和服を収納する「衣裳盆」のついたたんす。上下に分かれて下に洋服を収納する引き出しが付いているのが一般的です。衣裳盆1枚につき着物が2~3着しか収納できないため、しわになりにくいといったメリットがあります。

整理たんす(昇りたんす)

整理たんす(昇りたんす)

大小さまざまな引き出しと、上部に引き戸が付いたたんす。基本的に本体は2~3のパーツに分かれる構造のため、引越しが多い方や階段が狭い家などに向いています。着物だけでなく、バックや小物の収納も◎。

洋服たんす

洋服たんす

扉を開くとハンガーを掛けるパイプが通っており、扉の内側に鏡とネクタイ掛けがついているたんす。他のたんすより奥行があり、毛皮のコートやロングコートが多い方にはピッタリです。

小袖たんす

小袖たんす

背の低い引き出しだけのたんすですから、和服を持っていない、ウォークインクローゼットがある家などに向いています。また背が低いため部屋に圧迫感が出ない、大きな地震でも倒れにくいなどのメリットも。

チェスト

チェスト

現在の住宅事情を鑑み、洋室や寝室に置ける洋風チェストで、従来のトノコ仕上げ一辺倒から脱皮して各種の仕上げ(塗装・時代)を施しております。

 

 

桐たんすの幅(間口)の種類

桐たんすの幅(間口)は、狭いもので3尺3寸(100cm)、広いもので1間巾(181cm)まであります。
基本的にはオーダーなので変更も可能ですが、次の4つのサイズが多く出まわっているようです。
収納する量にあわせてお選びください。

桐たんす3尺3寸(約1m)

3尺3寸(約1m)

桐たんす3尺5寸(約1m6cm)

3尺5寸(約1m6cm)

桐たんす3尺6寸(約1m10cm)

3尺6寸(約1m10cm)

桐たんす4尺(約1m21cm)

4尺(約1m21cm)

桐たんすの板厚と種類

天板、地板、保立(側板)の板の厚さと形にも違いがあり、一般的には以下の3種類が多く出ています。板厚が厚いほど耐久性も存在感あって高級になります。(松本義明)

並厚(板厚2cm)

並厚(板厚2cm)

胴厚(板厚2.7cm)

胴厚(板厚2.7cm)

胴丸(板厚4cm)

胴丸(板厚4cm)

お盆の種類

(1) 普通盆(角盆)

最も多い仕様のお盆で比較的作り易く、かつうつ木を使用するので、とても丈夫です。
また、内部は四方が角なので、たとう紙の収まりも良好です。

普通盆(角盆)

(2) つけ丸盆

今、市場に出回っている丸盆の殆どがこのつけ丸盆で(2)の先留盆の四方角の内側にすみ木をつけております。
お盆としての肉厚は加工上、普通盆より薄くなっています(通常14~16mm位)


つけ丸盆

(3) 本丸盆

真の高級桐たんすのみに採用される非常に高度な技と手間がかかるお盆で現在、この本丸盆を巧く作れる職人は少なくなりました。
工法としては、桐の無垢板を留にして組みたて、その後に完全に削り出しに依り作り上げます。
当然高度な作業ですが、肉厚は14mm前後と薄くなります。

本丸盆

(4) 亀盆(びく盆)

現在、桐たんすでは余り見かけなくなりましたが、お盆の側面に図のような曲面を加工するものです。
この盆亀には、盆角とつけ盆丸があります。

亀盆(びく盆)

(5) 前くくり盆

まず最初に普通盆として作製してから前板と奥行(側板)の一部を削り取るもので、利点としては複数の着物を収めても容易に下の着物が確認できるということです。
この前くくり盆は箪笥の松本オリジナルの仕様で昭和34年正田美智子様(現皇后陛下)ご成婚に納めた桐たんすにも採用いたしました。

前くくり盆

(6) 板盆

呉服屋をはじめ、着物着付教室などのプロに好まれる板盆は着物を置く面積が大きく取れる、着物を収め易い、出し易い、視認が容易などの数々の長所があります。
本格的な盆板は、はしばみを組みますので、つけ丸盆と同等の金額となります。

板盆
お盆による価格の位置づけ


丸本2種と先留盆は四方の外側全てをトノコで仕上げます。(松本義明)

各工法の種類

総桐たんすに於いて、工法を紹介するにあたり外観よりも本体や引き出しの組み方に各種の工法がありますので、お客様に出来るだけ判り易く説明致します。(松本義明)

 

⑴ 本体

イ:上台・・・天井板と保立の接合は枘(ホゾ)を切り、組むのが一般的です。
枘は通常奇数(7枚枘、9枚枘、11枚枘、13枚枘)となりますが、枚数が多い方が高級品とされております(但し、これは手仕事の場合で今は多くが機械で抜く事をご了承下さい)

※箪笥の松本は高級品には天井板と保立の接合に江戸指物の最高技術と言われる「内枘組(うちほぞぐみ)」を採用しております。この技は高度なのは勿論のこと、通常の外に出た枘組と違い暖房に依り枘の凹凸が皆無です。まさにシンプルで且つ堅牢で素晴らしい技法(工法)です。

通常の枘組

通常の枘組

箪笥の松本オリジナル 内枘組採用

箪笥の松本オリジナル 内枘組採用

ロ:下台・・・下台の天井板の木口(こぐち)を外部に出す工法と、保立の板目で覆い隠す工法の2種がありますが近年は木口を出さないのが主流となりました。
但し今でも廉価品の一部は工法上簡単なので木口を出しているのを見かけます。

木口を出す工法

木口を出す工法

下台の木口は出さない。 かつ上台と下台の板目を通すのが高級品の証です。

下台の木口は出さない。
かつ上台と下台の板目を通すのが高級品の証です。

ハ:保立と棚板との接合について
通常の接合とは別に難易度の非常に高い接合の工法として「剣先留(ケンサキドメ)」という工法があります。
この工法はひとえに難度の高さの表現として採用されてきました。

通常の接合

通常の接合

剣先留

剣先留

(2) 引き出しの工法(最も職人の技が評価できます)
引き出しに工法が見られるのは前板と奥行及び奥行と先板の組み方がその代表と言えます。

まず前板と奥行の組み方から説明致します。

包み蟻組

包み蟻組
(※一般的に蟻組と呼称)

包み打付組

包み打付組
(※通常うつ木止めと呼称)

包み打付組とは-
古くより桐たんすはもとより江戸指物などに用いられる基本的な組み方で、前板の一部を欠いて奥行を接合し、うつ木やみず木などの木釘を打ち込む工法です。

包み蟻組とは-
現在、桐たんすの殆どに採用されている工法で、一般のお客様にも「蟻組」と親しまれております。
この工法の当初は手抜きの蟻組(手仕事に依り蟻組を形成)でしたので、とても難度と時間がかかるものでしたが、今は機械で瞬時に抜きますが、組み付け時は依然手仕事に依ります。

※この2つの組み方の優劣は無いと考えております。
また、強度についてはどちらも接着剤を使用しますし、蟻組は複雑に組み込みまたうつ木止めは木釘を使いますので甲乙つけがたいものと思います。特に関東の職人はうつ木止めを好みます。

次に引き出しの奥行(側板)と先板の工法について述べてみます。
まず1番難度の高いのは「先留、先蟻組」という工法です。
先留と蟻組の両方を用いた最高難度の技です。

現在、弊社の総桐胴厚衣裳箪笥「古都」という作品が唯一この工法を採用しております(伝統工芸士 大橋勉作)。是非ご来店してご覧ください。


先留、先蟻組

次に通常の組み方を説明致します。

合い欠き組は、東京や埼玉の職人が昔より好んで使う工法です。
また3枚組(5枚組もありますが)産地加茂で最も広く採用されております。


合い欠き組

合い欠き組

3枚組

3枚組

また一部(広島府中のメーカーや加茂のメーカー)の工場ではややイレギュラーとして下記の組み方も採用しております。


関東や加茂のメーカーはまず用いませんが、利点としては、暖房に依るほぞ組の凹凸の心配がなく、引き出しの出し入れがスムーズということだと思います。

広島府中のメーカーが採用

加茂の一部メーカーが採用しておりますこの工法は包み打付組を先板と
奥行の組み付けに使っております。


加茂の一部メーカーが採用

(3) 桐たんすの作製にあたり最も重要な引き出しの「仕込み」(引き出しの出し入れ)について

桐たんすの引き出しは本体に入れる際に双方のどちからに必ず遊び=隙間を設けないと、引き出しが固くて入りません。この遊びをいかに少なくして、精度を高め、かつ万人が無理なく引き出せる仕事をするかが、まさに職人の腕の見せどころです。
古くより埼玉春日部(含越谷)は、引き出しの仕込みを外がね方針といい、この遊びを引き出しをなげす(削る)ことに依り設け、新潟加茂は内がね方式で本体の内側を削ることに依り遊びを作り出しております。
双方、一長一短がありますが、現在は精度の高い内がね方式が主流です。

(2014.8.18 松本義明)

伝統工芸士と木工一級技能士について

この両方の職人に与えられる資格について、まず1番大きな違いは認証を含め管轄する官庁が異なるということです。以下、両方の資格をその発生状況、性格、現状等を交えて説明致します。

 

⑴ 伝統工芸士について

昭和50年より時の通産省(現在の経済産業省)が、日本各地の古来より継承されてきた伝統工芸品の技術の承継と後継者の確保、育成を目的として伝統的技術保持者に対し資格制度を必要を認めたもので、大義は各産地に於ける伝統的産業の振興であります。

当初は産業振興が最大の目的であったので各工場に認定を振り分けていましたが、その後実技試験と知識試験の双方が課せられ実施されて今に至っております。認定申込資格者は原則として実務経験年数20年以上を必要と致します。

 

⑵ 木工一級技能士について

この資格は労働省が管轄でまさに木工に対する技術を純粋に実施試験を経て評価するもので、一級技能士は卓越した技の持ち主と言えます。

その規定は職業能力開発推進法に準ずるもので、木工一級技能士の資格取得は木工に携わる者として究極の名誉ある称号と言えるでしょう。

(松本義明)

基本的な材料の使い方の良し悪しについて

桐材には最高級の会津桐を筆頭に、南部桐、秋田桐、山形桐、新潟桐の優良材、また群馬や栃木の並材、北米の一級柾(柾目)、南米や中国の廉価材などがありますが、ここでは産地別の良し悪しではなく、材料の使い方についてその良し悪しを述べます。
桐たんすにおいて良い材料の使い方とは、まず本体では保立の外側部分に板目の巾広板、しかも虫食い、くされ、シミのない、きれいな材料を中央に用い、左右にやはり同様の巾の狭い桐板を補足して作るのが基本です。
さらに二ツ重の場合は上台と下台の板目が同じ長板から割ったためにつながっていることが重要です(三ツ重は近年少なくなりましたが、この場合もしかりです)。

次に引き出しについてですが、この個所で桐材の良い使い方、悪い使い方がはっきりわかります。つまり、もっとも工場および作る職人の評価を下しやすい個所ともいえます。
引き出しの底板については、いちばん桐材の使用状況が万人に容易にわかる場所で、やはり巾広のきれいな板目を3~4枚、もしくは3枚と裾木2枚で構成しているのが最上の使い方です(図1)。
しかし、幅広のきれいな板目は非常に貴重で、一部の高級品を除き多くの桐たんすの引き出し底板は何十枚もの巾の狭い裾木を寄せいているのが現状です。この場合は工場が自社で底板の材料を吟味して作るのではなく、桐の材料屋から一度に何百枚という多量のできあがっている底板をまとめて購入しています。

材料の使い方の基本で、とても重要なことを説明します。引き出しを組み立てるとき、お盆でも同じですが、桐材の使い方は底板も奥行(側板)も先板も、必ず木裏を内側にして木表を外側にして作ることが作製の基本で大事です(図2)。
(注)さらに基本をふまえると、引き出しの奥行(側板)は木の芯に近い方を下にします。
しかし、かなり多くの桐たんすは、よく検証すると材料の基本的な使い方を無視して作成工場が安くあげるため、桐材を材料屋から各部分ごとに購入する場合は、この基本中の基本が守られていません(図3)。
お客様が購入時にこのチェックも本来は必要となりますが、現実にはプロ以外の人が見抜くのは困難なため、購入するお店をどこまで信用するかという問題になります。
(松本義明)

 

(図1)巾広4枚 / 巾広3枚+裾木2枚

(図1)巾広4枚 / 巾広3枚+裾木2枚

(図2)表側/裏側(矢板)

(図2)表側/裏側(矢板)
引き出し底板の基本的な材料の使い方
木表、木裏

(図3)基本的な材料の使い方を無視した例

(図3)基本的な材料の使い方を無視した例
(底板を巾狭の寄木で構成、しかも木表。木裏の使い方はまったく無視)

 

 

いまの売れ筋桐たんすの傾向について

私、松本義明は24歳より63歳になるまで39年間、桐たんす販売に従事し、これまでに3,800棹以上販売してきました。近年の桐たんすの売れ筋傾向は、かなり劇的に変化しており、特にここ7~8年くらいで顕著になっています。
私が20~30代のころの売れ筋とえいば、ほとんどが大洋下三や大戸7重とよばれる従来型(既存型)でしたが、平成に入り数年経つと洋室適合の桐たんすの必要性を感じ、またこのころより百貨店および購入者からも同じ要望が徐々に起こり始めました。
このことは住宅事情が大きく影響しており、得意に都内のこれまでの購入層であった大きな一戸建てのお屋敷は次々に壊されマンションに変わり、和室のない建物になりました。
したがって、桐たんすの需要は洋室適合のおしゃれな桐チェストが主流となり、この傾向は前述のごとく、7~8年前から強くなりました。
しかも今の洋風チェストを購入するお客様は若年層も多く(これは将来に向けて良いことですが)、チェストのデザイン、仕上げ、取っ手に対してこれまでのお母様任せから自己の主張や好みを強く出してきており、売る側もより高い感性と知識が求められるようになりました。

次に売れ筋の具体的な仕様を箇条書きにいたします。

 

  1. 間口は100cmが主流で高さは70~80cm(リビングタイプ)から120cmくらいまでがよく売れます。

  2. 取っ手は彫り込み仕様でシンプルなデザイン。引き出しは浅目です。

  3. 仕上げは「トノコ一辺倒」と、「色分け(トノコとウレタンや漆など)」を好む方とがはっきり分かれます。

  4. 以前のような高品質・高精度よりもデザインや仕上げ重視に変わってきております。

  5. 価格帯は30~50万円がよく売れます。

さらに特筆すべきことは、地方のお客様もここ2~3年ほどのあいだに都心と同じような洋風チェストが売れてきていることです。しかし、お着物を多数所有する一部のお客様には、やはり従来型が根強い人気があることも記しておきます。
(松本義明)

 

桐たんすの仕上げの種類

現在は桐たんすの仕上げの種類も多様を極め、代表的な「砥の粉仕上げ」「時代仕上げ(焼き桐仕上げ)」「ウレタン塗装」「ウルシン塗装」「漆塗装」「天然オイル仕上げ」「蜜蝋仕上げ」「柿渋仕上げ」などがあります。(松本義明)

仕上げの種類についてはこちら

桐たんすの産地について(全国10ヶ所)

最近では中国など海外から輸入された桐たんすが多くみられますが、桐たんすの産地は国内にもあり、そのうち5つは経済産業省の伝統的工芸品に指定されています。(松本義明)

経済産業省の伝統的工芸品に指定されている桐たんす

加茂の組合員シール

加茂の組合員のシールが
品質の証しとして貼られます。