その桐タンス本物?最近インターネットなどで価格の安い桐タンスを良く見るけど購入しても大丈夫? 専門店や百貨店で展示してある桐タンスと何か違いがあるの?
管理者用
最近インターネットなどで価格の安い桐タンスを良く見るけど購入しても大丈夫?
専門店や百貨店で展示してある桐タンスと何か違いがあるの?
そもそも、本物の桐タンスなの?
最近、上記に記載した内容のご質問のお電話やメールを多くいただきます。
お問い合わせ頂いていないお客様の中にも同じ内容で悩んでいる方が多いのではないかと思い、筆を取らせていただきました。
結論から先に申し上げておきますと、インターネットなどで見る価格の安い桐タンスの多くは(全てではない)、日本古来より伝わる伝統的な技法で作られた桐タンスとは、作りも機能面においても別物であるとお伝えいたします。
また、専門店や百貨店の桐タンスは職人の手作りで作製されているものがほとんどに対し、インターネットなどの格安桐タンスは工場で機械を使用しての大量生産で作製されることがほとんどでございます。
それでは、分かりやすく違いをお伝えするために、画像を交えて作りの違い、機能面の違いを以下でご説明して参ります。
【天板】
職人が作製する桐タンスは、天井板と保立の接合は枘(ホゾ)を切り、組むのが一般的です。
枘は通常奇数枚(7枚、9枚、11枚、13枚)となり、枚数が多いほうが高級品とされております。
この枘組によって木材に鉄釘やネジを使用することなく接合することができる上、フレームの強度を高めることができ耐久性が向上します。
通販型の桐タンスではこの枘組はほとんど見受けられません。
【背板】
弊社で入手いたしました通販型の桐タンスの背板は薄いハメ込み式になっており接合部分も薄く、タッカーを打って止める製法で作られていました。
職人が作製する桐タンスの背板は木釘を使用しておりますので堅牢性、耐久性に優れ、また無垢の桐材が使用され見た目も奇麗です。
【棚板】
弊社で入手いたしました通販型の桐タンスの棚板は前の部分だけにしか棚板がないものでした。目に見えない部分でのコストカットも安さの秘密なのかもしれませんが、これでは桐タンスの特徴の一つである気密性が全く無いと言えるでしょう。
引出しに収納されているものが、引出しの閉開を繰り返す内にいつの間にか無くなって、下の段の引出しから見つかったなんてこともおこるかもしれませんね。
【引出し①】
弊社で入手いたしました通販型の桐タンスの引出しの底板はハメ込み式のため現時点でハメ込みがずれて少しの隙間が空いておりました。職人が作製する桐タンスの引出しの方が、気密性の面においては大きく軍配があがります。
【引出し②】
職人の作製する桐タンスの引出しは職人の技で丁寧に調整を行い作製されていますので気密性に優れ、引出し内部に湿気や虫などが入らない仕様になっています。写真(左)を見ていただきますと名刺用紙1枚分の隙間もございませんでした。
通販型の桐タンスで同じく名刺用紙を使用して検証しましたところ、写真(右)4枚分の隙間があることがわかりました。この様に引出しに隙間があることにより、桐タンスの最大の特徴である調湿効果が得られず、タンス内部に湿気の侵入を許し、カビの原因になったり、引出しの開閉におけるガタつきの原因にもなり得ます。
【引出し③】
次に引出しの底板の色に注目してみました。通販型の桐タンスでは引出しの底板に使用している桐材に白い部分と、黒ずんでいる部分とでムラが出ておりました。職人の桐タンスは約2~3年ほどかけて天日で乾燥させ渋抜きした桐材を使用する為、この様な色ムラはあまり見ることがありません。
通販型の桐タンスは一般的にこの渋抜きの期間が短いと言われておりますので、タンスを作製した後でこのような黒ずみが発生する恐れがあるようです。
【桐材】
~材質について~
通販タイプ桐箪笥に使用されている桐材は主に中国桐を使用しているケースが多く、専門店や百貨店などで販売している桐箪笥は、一部の特価品を除いて国産桐または国産桐と同等の北米産の桐を使用しております。
また、専門店、百貨店の中級品以上クラスの桐箪笥においては、新潟及び東北地方の国産桐で製作しております。
【職人】
~職人について~
最後になりますが、通販型の桐箪笥と専門店や百貨店で販売している桐箪笥の最も重要な違いがある点を下記に述べさせていただきます。
それは専門店や百貨店で販売している桐箪笥の多くは有資格者、伝統工芸士や木工一級技能士が作成した伝統工芸品であるという点です。
伝統工芸士とは経済産業大臣指定の伝統工芸品の製造に直接従事する者を対象に財団法人伝統工芸品産業振興協会が実施する伝統工芸認定試験において、実技試験及び、知識試験に合格した者をいい、経済産業大臣資格認定制度により「伝統工芸士」の称号が与えられます。またその受験資格も、伝統工芸品の製造に今も従事し12年以上の実務経験が必要となっております。
このように大変厳しい条件を達成したもののみが「伝統工芸士」となり、その最高の伝統的技法をもって作られた桐箪笥が、伝統工芸士の名前を冠し専門店や百貨店で販売されております。
伝統工芸士や一級木工技能士が作成した桐箪笥は、そのこだわりぬいた技術が細部にまでいきわたり、その美しいディテールはまさに日本が世界に誇れる芸術品と呼ぶにふさわしい物となっております。
以上、この項目で述べさせていただいた点は、通販型の箪笥ではできない最も重要な違いであると言えます。
【まとめ】
今回見ていただいた内容は価格の安い通販型の桐タンスを否定するものではございません。
一般的な物を収納することにおいてはしっかりとその役割を果たせる商品でございます。
また、全ての通販型の桐タンスがこのような作りで作製されているということもないと思います。
ただ、伝統工芸品に指定される「総桐タンス」と呼ばれる桐タンスの効能は持ち合わせてはいないようです。また、この様な作りの桐タンスが今、インターネット上で「総桐タンス」という名称で販売されていることも事実です。
この記事を読んでいただいたお客様は、今回上げたチェックポイントをしっかり確かめてからご購入されることをお勧めいたします。
また、高級なお着物や、大切な衣類は、気密性の高い信頼できる桐タンスの専門店や百貨店などを通してしっかり現物をみて、スタッフの説明を受けてから、ご購入されることをお勧めいたします。
材料や技術の一つ一つに気持ちを込めて作製します職人の桐タンスは、お客様のご満足を得ることの出来る唯一無二の逸品であると自信を持って断言いたします。
また、職人が作製した桐タンスはお直し(更生)をしていただければ100年以上お使いいただける品物です。
お客様の桐タンスご購入のお手伝いにこの記事が参考になれば幸いです。
筆:箪笥の松本