『加茂の旅』Vol.5 松本 義明
a.takahashi
☆加茂のお取引先レポート
いよいよこれから箪笥の松本がお取引をしている加茂と田上地区の桐たんす工場をレポート致します。本企画の本題とも言える部分で、各メーカーの紹介を判り易くお伝えします。(各会社名の敬称略)
① 真保寅次商店 創業明治10年 http://www.rakuten.co.jp/kiritoraji/
新潟県加茂市青海町1-3-17
℡ 0256(52)0224 社員数 3名
社長・4代目 真保 和典氏(61才)
真保寅次商店は私・松本が昭和57年に加茂市のなかでは朝倉家具、佐藤木工に次
いで3番目に取引を始めた会社で先代の社長、3代目真保寅次氏には大変お世話になりました。
この3代目真保寅次氏は、その風貌同様に仕事にはとても厳しい方で、当時夜が明ける前の暗いうちから仕事場に入り、柾寄せ(=桐たんすの顔とも言える扉の部分)に自身が納得がゆくまで取り組んでいたという話は佐藤木工の社長から幾度か聞いたものです。
今の4代目社長の和典氏は(写真右)大の車好きで、マツダロータリーや今は日産のZを大改造して乗っております。またその穏やかな人柄が災いして(失礼!)現在ファルコンオブジャパンという大規模な車好き集団(Zが中心)の代表を実に一生懸命やっております。
真保寅次商店は、ショールームを持ち(加茂46)従来型にとらわれず、斬新な新作にも前向きに取り組んでいるところに共感が持てました。またこの、真保寅次商店の変形小袖たんすは弊社の(106巾変形小袖下衣裳¥600,000税別)下の写真にも紹介しておりますが私が最もお奨めする小袖の決定盤です。
桐たんすを選ぶ基準には、幅(間口)の大きさや形状、産地などさまざまな要素がありますが、「板厚」も選ぶ基準にしましょう。板厚とは、天板、地板、保立(側板)の厚さのことです。同じ大きさ、形、産地であっても板厚が厚いものほど高くなり、人気もあります。
私は真保寅次商店のショールームを視察し後、30数年前に数回伺った工場へ足を運びました。工場で驚いたのは、その頃にバリバリ働いていた木工一級技能士かつ伝統工芸士である有本一郎氏が81才の今でもまだ桐たんすを作っているという事実です。この例をみるまでもなく腕の良い職人さんはいつまでも働くことができるから。むしろ会社側が辞めさせないもので、永年の経験は何物にも代えがたい、ということでしょう。私はショールームと工場の視察を終えて、真保和典社長を取材しましたが、真保商店の誇れるところは、少数精鋭主義で、1点ものの造作(オンリーワン)にこだわることである、と述べておりました。また今売れている商品は独自開発した桐のベッドで先月は5台売れたそうです。(この桐ベットの完成品を撮影しようとしましたが、たまたま品切れとのことでした)あと真保和典社長は、桐の食器棚にも意欲的に取り組み、その軽さと柔らかさをセールスに売り上げをあげつつあります。現在、真保寅次商店は、ショールームの他、新潟三越やデッキ401、イオン亀中店をその卸し先として息子の真保佳和氏(34才)と親子で頑張っております。
私から一言
真保寅次商店は加茂に無くてはならない存在の桐たんす屋です‼その屋号は加茂桐たんす業界の重しみたいなもので、今後の商売繁栄を祈願しております。