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2014/12/06

『加茂の旅』Vol.2 松本 義明

a.takahashi
ブログ

☆新潟県加茂市について

加茂市は新潟県のほぼ中央に位置し延暦13年(西暦794年)桓武天皇の御代に京都賀茂神社の神領である平安京に遷都されその替地として越後の加茂市青海神社が選ばれ 加茂神社の社領として上賀茂神社と下賀茂神社の祭神が分霊されたことから「賀茂」と呼ばれるようになり、その後明治初期に今の加茂が使われました。街の面影は 古都を偲ばせる佇まいを見せ恵まれた風土と環境は郷土民謡「加茂松坂」に”加茂はハタごとたんすの出どこ、筬と槌とが呼びかわす”とうたわれて居るように 昔から箪笥と織物の街でした。

加茂の地図

加茂の街は三方兵陵の緑に囲まれ新潟県立自然公園粟ヶ岳から流れる加茂川が街を縦貫して信濃川に注いでいます。山からは木材が豊富に産出され、大工、建具、箪笥、機織とあらゆる職人が集まり河船の往来も盛んで木材の集散地として栄え、箪笥の街、織物の街として発展し京都との交流も活発に行われていました。 また加茂市内には加茂川が市街地を2分するように流れており、26本の橋がかかっております。
*北越の小京都「加茂」
日本全国位に小京都と呼ばれている街は48ヶ所ありますが、加茂市は京都と同じく木工芸品の古くからの産地として特に有名で、山に囲まれ、市街地に川が流れるその風情はまさに北越の小京都と呼ぶにふさわしい街です。加茂は、現在も商店街や古い小路には、町屋や土蔵、江川が残っており、古都京都を偲ばせる落ち着いた街です。

☆加茂の産業(加茂市役所商工観光課資料より)

 1.加茂の桐たんす

箪笥  


加茂の桐たんすの歴史は古く今からおよそ220年前の天明年間といわれており、
昭和51年には国の伝統的工芸品に指定され、現在全国の75%~80%の生産量を誇る日本一の産地として有名です。

 2.加茂の建具

屏風  


江戸末期の文政年間には、すでに産地として知られていました。近年、アルミサッシを上回る性能を持つ「加茂サッシ」や組子を取り入れた引き戸、屏風、さらにテーブルに至るまで伝統技術を活かした製品に取り組んでおります。

 3.加茂縞

加茂縞  


江戸時代後期より加茂で織られてきた綿織物、藍の成分による防虫効果と丈夫さから主に農家の仕事着に愛用されてきました。

 4.酒

酒  

加茂には3社の蔵元がありいずれも質の高さが全国的にも認められ県外の愛好者も多いです。
(例・加茂錦)

 5.岳炭

岳炭  


加茂の名峰、粟ケ岳の山麓で作られたので「岳炭」と言います。
品質が良い事で有名で現在はそれを復活させ、粟ケ岳県民休養地で「炭焼き体験」を行っています。

  

☆加茂の桐たんすについて

 前述しましたが、桐たんす=加茂と言うほど、加茂の桐たんすは有名で全国の75%~80%の生産量を誇りますが、その歴史は古く220年前の天明年間に丸屋小衛門が始めて作ったと伝えられております。加茂という場所に於いて桐たんすが作られるようになったのは四方を山々に囲まれ昔より良質に桐材が多く取れたことと、粟ケ岳(写真下左)を水源とするやはり良水が豊富に入手できたこと。運搬に便利な加茂川(写真下右)があったことなどが要因として揚げられますが、やはり1番は盆地で 目立った産業がなく桐たんす職人の生きていく為の必死の努力が大きかったのではないか、と思います。これは東京に隣接し恵まれた環境にあった埼玉の春日部桐たんす の興亡をみると、実に納得ができることです。

加茂

粟ヶ岳

加茂

加茂川

☆次に私・松本からみて加茂の桐たんすが他産地にない特長や強みを持っている要素を箇条書きにしてみます。

  1. 前述しましたが加茂という場所が山と川に囲まれ、木工産業には最適の環境にあること
  2. 加茂で作られる桐たんすは日本全国の購買地域への卸し期間が非常に永かったので、どのような形への対応も可能であること。これは各桐たんす産地がその地域で好まれる形しか作らなかったのに比べると、加茂のオールマイティな製造は特筆ものです。
  3. 桐材の管理(木材乾燥)が徹底して行われていること。加茂の桐たんすは原木で1年、引いても2年の最短でも計3年間の天然乾燥させた桐材を使いますので製品化してからの狂いやそりが非常に少ないのです。首都圏や大都市の産地では、土地代がとても高く十分な桐材の乾燥が不可能です。(桐材の天然乾燥には広大な土地が必要不可欠です)
  4. 高度な技術を取得している桐職人が多くいること。伝統工芸士や木工一級技能士の人数が他産地に比べて圧倒的に多いことがそれを表しております。
  5. 桐たんすの製造に於いて秀れた工法や技法を積極的に駆使していること。例えば桐たんすを引き出しの仕込みについても加茂は内がね方式、埼玉は外がね方式でその仕込みの精度の高さは他の産地の追従を許しません。(※桐たんすの引き出しを仕込むにあたり、どこかに本体と遊び=空間を設ける必要がありますが内がねは、その遊びを本体に、また外がねはその遊びを引き出しの奥行きの先板側をなげす=削ることに依り設けております)
  6. 新作や洋風チェストなどの斬新な作品に積極的に取り組んでおります。時々には家具のデザイナーとのコラボによる作品も数多く存在しております。
  7. これまで東京を代表する大都市(日本国内で最も桐たんすの販売競争が熾烈な場所)に桐たんすを供給してきたので百貨店や百貨店納入業社からの厳しい各種の要求に研究と勉強を重ねて答えてきたこと。
  8. なによりも桐箪笥共同組合が他の産地の共同組合に比べて、その規模、内容、実績、業界への貢献度、等々が比較にならないほどしっかりしていること。また同時に桐たんすの工場や職人の数も、他産地と比較して、圧倒的に多いことも揚げられます。今は国内のみならず、海外(ドイツやイタリア、中国)にもその発表の場所や販売路を見い出し、現理事長(写真下)の茂野克司氏を先頭に実に積極的に活動しております。
茂野氏

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