箪笥
2014/12/04

『加茂の旅』 松本 義明

a.takahashi
ブログ

☆「加茂」とは?

家具、特に桐たんすに興味がある方、お持ちの方は加茂と言えば新潟県加茂市のことで、日本最大の桐たんすの産地であることはお判りかと思いますがその反面未だ知らない方も数多くいらっしゃいます。実際私松本が弊社本店の四谷2丁目ショールームで桐たんすの販売をしている際「この桐たんすは加茂(かも)で作られた…」と説明すると「京都の賀茂ですか?」という方に遭遇して面喰うことも1回、2回ではありません。(^▽^;)    

総桐三五胴厚下三夫婦

106巾胴厚夫婦箪笥 黒梅

100巾 6重 市松 時代仕上

100巾チェスト6重 市松 

確かに京都は、日本和家具発祥の地で桐たんすの大きな産地と思われても仕方ないかもしれません。そこで弊社としては30数年ほど前より、加茂の桐たんすを取り扱い、 毎年の売り上げに絶大な貢献と協力をしている「加茂の桐たんす」を加茂の旅を通して加茂市そのものの紹介と共に読者の皆様にお伝えしたく、本企画を考えました。

風景
  

☆『箪笥の松本』と『加茂の桐たんす』について

弊社は4代目の桐たんす製造職人、松本朝之助が埼玉県針ヶ谷(現在の北浦和)から、上京して大正元年に今の四谷の地に店を構えて103年になりますが創業時より一貫して 四谷の自社製及び埼玉の春日部、越谷で作った桐たんすを「東京箪笥」と名称し、まさに東京箪笥の元祖的存在として営業しておりました。

創業者
 

現在の外観

現在の外観

たんす


当時は東京や埼玉で作った桐たんす(HP参照)は上物で新潟加茂の桐たんす(写真右)は駄物という評価で、実際加茂で作った桐たんすは東京に持ってくるとその乾燥でバラバラになる!と言われておりました。(盆地加茂の湿度が高い場所で作ると、東京の冬のカラッ風に耐えられない…)その後、産地加茂の桐たんす業者は供給先から厳しい要求や桐職人の必死の努力と勉強の甲斐に依り昭和の30年代よりその品質は年毎に良くなり昭和40年代に入ると、それまで日本最大の桐たんすの産地春日部(春日部、越谷、川越の2地域の総称)を凌駕する立場になりました。その頃弊社は東京箪笥としての看板と取引先である日本橋三越がライバルである高島屋が加茂の桐たんすを展示しているに対抗して東京及び埼玉の桐たんすを取り扱うMDを採用することと相まって、弊社は一貫して東京・埼玉の桐たんすを取り扱いかつ売っておりました。しかし私が大学を出てそれまで勤めていた、家具のダイクラ、東京家具センターから自社に入社した頃は(→昭和55年)桐たんすに於いて新潟加茂の絶対的優位は明らかで、私も自社ショールームをはじめとして各百貨店で強力な加茂の桐たんすに対抗すべくまさに苦労の連続でした。その頃ー実を言うとー私は父親の言い分(桐たんすは埼玉が1番だ!)に納得せず内心は加茂の桐たんすの品質の優秀さに十分気づいており父をはじめ叔父や弊社古参番頭や自社職人の反対を押し切って近いうち加茂の桐たんすを取り扱う腹づもりでいました。

朝倉家具  


(後談になりますが、私の父が当時加茂でNO.1と言われた川口たんす店に桐たんすの供給をお願いしたところ、他の業者へ卸しているとの理由で断られたということで 余計加茂の桐たんすに対してその取り扱いう気持ちが失せたと思います) その後、昭和57年私と父で毎年行っている新潟加茂の桐たんす木工見本市会場に於いて当時まだ現役バリバリで働いていた東京浅草の桐たんす業者社長の飯澤氏と 会い、その紹介で当時の白根市朝倉家具(写真左)に伺ったのが加茂桐たんすの正式な取り扱いの出発点です。加茂の桐たんすを扱うようになってからは弊社の売り上げは、佐藤木工、真保たんす店、北澤たんす店などの協力もあり、まさに鰻上り状態に至りました。

横溝たんす


現在は埼玉大宮の製造工場の他に新潟加茂の10数社の桐たんすを取り扱っております。

(※桐たんすの産地埼玉春日部は昭和30年代迄は日本最大にして最高品質を 誇り最盛期は
大小あわせて300店ほどの業社がおりましたが、首都に近いことが原因で品質改良の怠りや地場代の高騰などにより今ではその殆どが廃業や倒産の憂き目にあい数社しか 残っておりません。つい最近も越谷や川越の桐たんす工場の閉鎖があり弊社でその在庫処分を引き受けた次第です)

106巾大洋下三 松竹梅

106巾大洋下三 松竹梅

108巾胴厚大洋下三 桜に牡丹

108巾胴厚大洋下三 桜に牡丹

106巾胴厚大洋下三 黒梅

106巾胴厚大洋下三 黒梅

今般は「加茂の旅」レポートを企画しましたがその最大目的のひとつに加茂の桐たんすをより多くの人に知って貰いかつ愛用して頂くことが目的であります。

☆「加茂の旅」の趣旨説明

日本最大の桐たんすの産地である新潟県加茂市(加茂市の隣りの田上地区を含む)の産業や観光の紹介を兼ねて、箪笥の松本が現在取引のある桐たんす工場を取材し、その会社 となりを読者の皆様にレポートし周知して貰いひいては加茂の桐たんすの繁盛と販売促進を目標としております。行動は東京を11月3日の午後に車で出発し、3泊4日の旅で 11月6日の夜に東京に帰りました。


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